『長距離回航記から学べること:ボートセンター二色の浜、大野』
これは平成25年5月にヤマハSF35EXを大阪〜富山県まで3泊4日で回航したときの経験談です。
社長から『富山県までヤマハSF35回航行ってくれるかな?』の一言から。
海が大好きな私は二つ返事で『あっ、ハイ』と行った事を思い出します。
私のとってはこの長距離は初体験でしたので新鮮ですばらしいものでした。
回航のプロK氏に同行していただきながらの航海となりました。
彼は日本全体で行ってない場所が北海道の北方4島の横の側だけらしく、
それ以外の海辺全ての給油場所や避難港のデータをほぼ知っておられました。
急に決まる回航にも充分対応してくれたんです。最初から感謝の気持ちでいっぱいでした。
彼がいるのといないとでは私の仕事量は何倍にも膨らんでいたと思います。その時の
海況の変化と共に微妙に変わる燃料消費量と燃料タンク容量を考えてどこで給油する
のがいいのかを選択し、給油出来る先に事前に連絡を入れながら前進しました。
普段私もプロですが、めっちゃ頼りになって、彼がいなければ順調に完了していなかったでしょう。
回航初日、K氏と共に大阪府貝塚市オーサカマリーナを午前5時出港!
さあ、3泊4日の回航スタートです。
天候の良い日曜日早朝大体の燃費80L/Hと燃料タンク容量750Lと伝えて
K氏と共に明石海峡や瀬戸大橋を過ぎて、しまなみ海道付近にある伯方の塩で有名な伯方島を目指しました。
海況はすこぶる良く背中から朝日が光る穏やかな大阪湾でした。
@番目に
ここで紹介するのはプロの回航屋K氏の秘密兵器です。
小型のGPS受信機とiPadをバッグから取り出してBluetooth(無線)で接続してナビゲーションしていました。
回航知識七つ道具の一つipadナビアプリケーションはtransas isailar(無料アプリ。
ほぼ全世界の地図が有料でありで、日本近海は2,200円でした)
またGPS受信機は、ガーミン製でマッチ箱程度のもので非常にコンパクト
プロとして依頼を受けて乗る船によってはGPSの機械はあっても地図がない場合やGPS
自体が無い船もあるらしく、自身で今どこにいてどこを目指せばいいか、また何ノットで走れば
目的地に着くかを常に計算しながらの回航業たる仕事を成し遂げてこられて今に至っておられました。
本当に素晴らしい道具です。GPSデーターは海上でも常に受信できます。
その電波を携帯受信機で受けてipad にBluetoothさせ、ナビする方法です。
A番目には、
2人での日中での回航は1時間毎の運転操縦の交代制がいい。
これはお互いに走行中に流木やごみを避けて通るために張りつめてしまっては長丁場
が持ちません。よって1時間というのが丁度いいらしいです。
初日瀬戸内海をすべて航行し下関で一泊。2日目になって兵庫県香住港をめざし出
発!
そこで日本海に出て驚いたことがなんと多くの漁具が流れているんだと思いました。
ひどいのは潮目には漁網そのものがブイと共に流れていたり、
1m四方もあろうかと思う網かごがポンポンと浮いていたり!そんな物に当たれば無事
お届けすることが目的の仕事が達成できなくなると思い、プロとしてごみが多き海面
ではおのずと最新の注意を払いながらの航海でした。
B番目には、
燃料給油や泊める桟橋などでのフェンダー、ロープ豆知識
穏やかな港内では何ら心配ないのですが、日本海側の大きな漁港ですと港からの出し
入れが非常ににぎやかな港内は大きな引き波も出来、船体がかなり揺れることがあ
り、人力では抑えきれません。そこで今回フェンダーは数本乗っていたので3本を束ねて
1つのフェンダーにしようとk氏からの提案が出て、大きく強力なフェンダーに早変わりした
のです。前後2か所に上手にすれば十分な超特大のフェンダーになりました。これ有効です。
C番目には
船の前後の係留については、桟橋側つまり陸側の方はもやい結びでとめる事!らしく
普段は逆をしておりましたので目からうろこのようなお話しでした。
出航時に陸で簡単に外せるとか、係船用スプリングロープがとりやすいための豆知識だそうです。
D番目に、
回航中には何が起きるか予測不能な不意の事故って現実的にあり、おこり得ます。
よって必ず保険には加入されながらの回航をおすすめします。K氏は未加入の船は乗
れませんと断言されていました。
エンジン、舵、ドライブユニットやエンジン本体のオーバーヒートにも出る保険に加入下さい。
保険加入をお勧めします。
以上のようなことをしながら4日目には無事富山県射水市のマリーナまで回航が完了しました。
各地ではおいしいものを頂戴し、香住などでは給油先の石油会社ご担当者様から地元
の温泉の招待券を頂戴してお風呂に入らせて頂いたり
多くの人から暖かい対応を受けながら船旅っていいなーって改めて感じた回航でした。
能登半島の金沢では急に船の周りが濃霧に包まれてレーダーを頼りに進む状況下となっ
たり、富山湾に入ってイルカの群れに癒されたり海の上でいろんな体験が出来てこの
約1350kmマイルに換算して730海里の船旅は海大好き人間にとって本当に貴重な経験
で幸せでありました。
SFー35回航 (大阪ー富山)